ふーん、杏ちゃんの安眠の寝床は……俺ってわけね。


「ほら、このままでいてやるから。寝ろ」


ポンポンと、優しく頭を叩くと、杏は安心したように息を吐き……目を閉じる。


数分もしないうちに、眠りについた。



あんな怖いことを体験したんだ。

身も心もボロボロにされて、コイツにはゆっくりと休む時間が必要。


そのためだったら、俺はどんなことでもしてやるから。

いくらでも、この腕は貸してやる。



そう考えて、ポツリとつぶやいた。



「だから、ゆっくり治そうな?」



安心しきった顔で眠る杏の頭を撫でる。


いつになってもいいから、ちゃんと




『陸!』




って、呼んでくれよ、杏。




――END――