「でも、滝本は神崎さんから本命チョコもらえるんだからいいよな? あの大学イチの美女で有名な彼女から、何貰うんだろ?」

「さぁ? それより、高瀬は何個チョコもらった?」


ヤローたちが興味津々といった表情で聞いてくる。


「バッカ! コイツ女嫌いなのに、女からもらうわけねー……」

「もらった」


友人のひとりの話を打ち切って、答えた。


「「え?」」

「だから、もらったって言ってんだろ」


シャーペンの芯をカチカチと出しながら、再度答えると、ヤツらの顔がみるみると驚きで埋め尽くされる。


「母ちゃんか?」


ふたりのうち、ひとりがそんなことを言った。

誰からもらったのか、知りたい様子。

フーッ……。


一旦、息を吐き、ヤツらが机の上に広げていた雑誌を指差す。



「知り合いの子どもと、その笑ってる女から」




『アイドルとしてだけでなく、女性としても成長して見せます!』というキャッチフレーズと一緒に、満面の笑顔で写っている茅那を示した。


なんか、私物公開の特集らしく……茅那のバックから鍵のキーホルダーまで公開されている。


その鍵自体は、あまりわからないように写真が加工してあったが。


キーホルダーは、9月の頃にふたりでいった水族館で俺が買い、アイツに片方をやったピンクのイルカ。



「「はァ? 冗談言うなよ!」」


ゲラゲラと笑いだすふたりに、フッと笑って話を終わらせる。