「座れ」
高瀬くんにお姫様抱っこされて、連れてこられた場所は……大学の棟内にある医務室だった。
高校の保健室と、内装はあんまり変わらない。
でも、ここには常時いた先生とかがいなかった。
近くにあった椅子に降ろされる。
「靴脱げ、あとソックスも」
「あ、はい……」
コクン頷いて、左足のブーツとニーハイを脱いだ。
ガサゴソと高瀬くんは医務室内を歩き回り、冷凍庫から氷を取り出す。
それをビニール袋に入れて、私が座るイスへと戻ってきた。
「今日仕事は?」
「18時からです」
「チッ。あと2時間もねーぞ。なんで放っておいたんだ」
舌打ちされて、ビクッと私の体が震えた。
彼は、しゃがみこんで私の左足に氷の入った袋をあてる。
「つめたっ……」
キーンと冷えた氷は、捻挫の痛みじゃないけど、刺激を与えた。
「少し腫れてんな」
捻挫の状態を見た高瀬くんが、ビニール袋を私に渡す。
「ありがとうございます」
それを受け取って、自分で冷やし始めた。
だけど。
「じゃ、冷やしてろよ」
ーーパタン
それだけを言うと、高瀬くんは医務室から出て行ってしまう。
え? 帰っちゃったの?
この大学の学生じゃなくて、こんなところにいるから心細い。
ひとりにしないでよ……。
でも、女嫌いの高瀬くんがここまで連れてきてくれたことが奇跡。
ワガママ言っちゃだめだ。
グッと手を握りしめて、足を冷やすことに専念した。


