地味子の秘密*番外編*

彼の目が、スッーと細められる。


「何してんだお前」


変装していても、私が誰なのかわかったみたい。

怒りを含んだ声音に、体が固まる。


そして、彼が話しかけたことで、女子の皆さんの憎悪の標的が私に変わった。


「なに、あの女っ! 蓮様と知り合いなわけ!?」


ひとりの女の子が、私を見ながら悪態をつく。

だけど、高瀬くんは気にしていないようで。


「なんで、ここにいる」


質問に答えない私に苛立つように問いかけて来た。



こ、怖い!


「な、なんでもないです」


こんな感じじゃ、チョコは渡せない。

もう、諦めて帰ろう。

頑張って作ったのになぁ……。


ペコッと高瀬くんに頭を下げて、その場から立ち去る。

方向を変えて、数メートル歩き出した時。


ーーズキッ

左足の痛みが再度訴え始めた。


これ、大丈夫かな?

18時から、また音楽番組のお仕事だし……それまで、2時間しかない。

ちょっとでも冷やしてから行かないと。

どこかのコンビニで氷を買っていこうかな。


チョコを渡せなかった無念を振り払うように、これから時間の使い方を考えていた時。


ーーグイッ

「えっ……?」

後ろから誰かに腕を引っ張られた。

驚いて振り返ると、そこには高瀬くんがいて。


私の腕を掴んで、ジッと見つめられていた。