「おみくじ、何だった?」
参拝を済ませて、ふたりでおみくじを引く。
俺は、≪大吉≫だった。
今年も仕事運いいようだ。助かります、一応社長なんで。
ふと、横にいる杏を見ると、なんだか浮かない顔だ。
『どうした?』と思って彼女の手元を覗き込むと……。
≪大凶≫と書かれていた。
『なんで? 陸は大吉なのに! あたしは……滅多に出ない大凶なの?』
ボードに書いて、プーッと頬を膨らませる杏。
「さぁ? 日ごろの行いの差じゃね?」
そう笑って答えると、さらに頬を膨らませた。
『陸なんて、いつも変態で俺様じゃない! どこがいい行い!?』
ボードにつらつらと文句を書く杏は……よほど、悔しかったようだ。
しかし……。
おみくじを持ったまま、杏はひとり考えるような顔をして境内から離れる。
なんだ?
俺も黙ってついていくと……何かを思いついたように、ポンッと手を叩いた。
「どうしたんだ?」
杏に問いかけると、彼女はボードにまた書き始める。