「繭は連れてこなくて良かったのか?」



神社の鳥居をくぐりながら問うと、杏が頷く。



『会長と行きたいんだって』と、スラスラとボードに書いて、説明してくれた。



ホント、繭は蓮が大好きだよな……まぁ、俺としても、その方が杏を独り占めできるからいいけど。



そして、続けて『人多いね~』と杏が書く。


2日ということもあり、俺らの他にも家族連れやカップルは、それなりに来ていた。




人ごみにまみれて、はぐれるというような状況ではないが……。



俺に対する神社内にいる男たちからの視線が痛い。




原因は一目瞭然。



杏だ。




あまりにもキレイで、男たちが見惚れている。




本人は、まったく気づいていないが……。