それから10数分後。



――バタンッ


自宅の前に着き、梶原さんに礼を言ってから車を降りる。


この人も、俺のせいで家族とのイブを過ごせてねーんだよな……申し訳ない。


俺の仕事が終わるまで待機してもらっていたから、仕事だったんだ。





「あーさみっ」



空調が快適だった車から出ると、外は身震いするように寒く。

すぐに、温まった体は冷やされた。


そういえば……天気予報で、雪が降るとか言っていたような……。


早く風呂入って寝よう。

明日は休みだしな。



そう思うと自然と早足になって、家の玄関を目指した。




だが、玄関に近づくにつれて……地面に何か……塊があるように見える。



なんだあれ?

真っ白い物体は。



目を凝らしながら、じっと見つめると。



玄関の前の明かりが周囲を照らし、そこにいるのがなんなのか知らせてくれる。




「え……? 杏?」





そこにいたのは、真っ白いコートに身を包み、同じく真っ白なニット帽をかぶって、玄関にしゃがみ込んでいる杏だった。