――ユカside――

私、田丸ユカ。

松沢学園に通う高校1年生。


突然だけど、私には憧れている人がいる。

その人を見たのは、入学式。

在校生の代表として、挨拶をした2年生。


名前は……滝本陸先パイ。


滝本先パイは、この学園内外では、本当に有名。

頭脳明晰、運動神経抜群、芸能人かと思うくらい……いや、芸能人よりかっこいい容姿の持ち主。

性格も優しくて、本物の王子様みたいな人。


入学式で、ひとめぼれして、その日のうちに先パイのファンクラブに入った。

学園内と他校生を合わせたら、軽く400人を超えるというファンクラブ。

会長は、先パイと同じクラスで、美人と評判の小森美樹さん。

ファンクラブに入ったら、掟があって、抜け駆けとかはしちゃいけなんだとか。



私は1年だし、先パイとは何の接点もない。

校舎の階も違うから、先パイの姿を見れるのは、全校朝礼や外での体育……私の教室がある階での移動教室くらい。


少ないけど、それでも先パイを見れると、本当にうれしかった。


だってね?

み~んな、同じ制服に、同じジャージなのに、先パイが着るとキラキラして見えるんだ。


私の先パイへの思いは、日に日に募って行った。



そして、入学から3ヵ月が過ぎた頃。


「ねぇ! やっぱり陸様彼女いるんだって!!」


現在フリーだと思われていた先パイに、彼女がいるという噂がたった。

2か月前も、そんな噂が流れたことがあったけど、デマだって言われてた。



そしてその相手が……神崎杏樹。

先パイと同じ2年生。

でも、よりによってあの女?