地味子の秘密*番外編*

さらに数日後の放課後。

「あのっ! 滝本先輩が好きです!!」

1年の女子に、西棟の裏でコクられた。

ここは、普段から誰も来ない場所。

告白用に使われたりしている。


「いや……僕、彼女いるから……」

「神崎先輩ですよね、知ってます。けど、先輩が好きなんです!」


真っ赤な顔して、涙目で告白をしてくる女。


「ごめんね、僕、彼女が好きなんだ」


なるべく優しい口調で断っている時だった。

――コツコツ……

ん? コツコツ?

わずかに聞こえた足音に、首を傾げた瞬間。


「杏ちゃ~ん! 陸くん女の子に告白されてるよ~~!」


藍鬼の声が、ばっちりと聞こえた。

目の前にいる女からちょっとだけ視線を外し、すばやく周りを見ると。


「えっ……」


日課の校内の見回りに来ていたらしい杏が、俺の数十メートル先に立っている。

藍鬼の近くに立っていた。

それでも、アイツの表情はばっちし見える。

うん。まったく変わってねーな。

普段通りの表情だ。

妬いている様子は微塵も感じられない。

あの天然娘は、思っていることが顔に出やすいのですぐにわかる。

今の表情にセリフをつけるとしたら、

『また、コクられてるの? 大変だね、モテる人は……』

という感じだ。

やっぱ妬いてくれない。


「ごめんね、ムリだから」


アイツ……俺に対して、独占欲とかねーんだな。

ありすぎるのも困るが、少しくらい欲しい。

告白を断っているのは、俺だというのに。

なんか逆にフラれたような気分で、教室に戻った。