なぜコイツがここに?

そう全員が思っていても、吉川の顔が見たことのないもので驚いていた。

『会議でしょ! 早く会社に行きなよ!!』

ものすごい剣幕でそう言い、滝本陸を病室から追い出そうとするが、

『問題ねーよ。親父に頼んできた』

パーティーの時とは180度違う表情で、一切笑うこともなく淡々と告げる。

高校生に会社だの会議だのという会話があることには不思議だったが、それよりも滝本陸の豹変ぶりに驚いていた。


そして、俺たち生徒会4人は、吉川の隠された秘密を知ることになる。



滝本陸が吉川を連れて、俺たちの量に戻って来た時、先に食事を摂ってくるように勧められた。

昼からドタバタとして、ほとんど何も口にしていなかった俺らは、吉川の世話をヤツに任せて、カフェテリアへと向かった。


そして、時間にして30分だっただろうか。

零と吉川の部屋まで戻ってくると、吉川の自室から声が聞こえた。


悪いとは思ったのだが、零とありさがドアに耳をつけて、ふたりの会話の内容を聞こうとする。


だが、中から聞こえてきたのは、吉川の思いっきり泣く声。


『みーちゃんが泣いてる』

そうありさがポツンと言った。


昨夜、ケガをしても、まったく泣かず……怖い思いをしていたのに、俺の前でも泣かなかった吉川が滝本陸の前ではワンワンと泣く。


この時、自分と陸の差を見せつけられたような気がした。




俺はただの生徒会仲間で、アイツは吉川の……。