地味子の秘密*番外編*

だが。

「えぇぇぇぇええ~? 理事長室どこにも載ってないよ~!」

編入生のメガネ女は、学園案内のパンフレットを逆さにしたまま、理事長室の位置を確認している。


パンフレット逆さだし、つーかそれには載ってねーし。

コイツ、バカだ。

そう思った。


この時はまさか、このメガネ女を俺が好きになるとは思ってもみなかった。


「おい、そこのメガネ女。理事長室行くならついてこい」

数分パンフレットを見ている女に、そう言い、理事長室まで案内する。

その間も……。

「うわっ……ここホントに学校? 豪華すぎ。ホテルみたい……」


廊下や階段に敷き詰められた赤じゅうたんや、天井に毎日業者によって磨かれているシャンデリアを見て、メガネ女は驚きの声を漏らしていた。

コイツ、どっかの令嬢とかじゃねーのか?

学園の生徒たちは、この内装が当たり前だと思っている。

自宅には執事がいて当たり前。

ほしいものは、何でも親の金で買える。

そんな考え方ばかりの生徒がいるものだから、メガネ女の反応が不思議だった。


東雲は、一度入ると、家庭の経済状況が苦しくならない限り、出て行く生徒はいない。

まぁ、親に結婚相手を決められて、政略結婚という名で学園を去っていく者もいるが。

だから、そんなに編入生というものはいない。

そのため、今日来た編入生のことはほぼ一日で学園内に広まった。

もともと、退屈している坊ちゃんや令嬢たちは日々の退屈で持て余している好奇心であのメガネ女のことを調べたようだった。



この時の俺は、もう編入生に関わるというようなことはないと思っていた。


しかし、それは同じ生徒会役員の零によって、ガラリと変えられることになる。