地味子の秘密*番外編*

寒い冬が終わり、桜の咲き誇る春になった。


4月8日……松沢学園入学式。



合格発表日には、あの人は見つけられなかった。

合格者召集日でも……わからなかった。



だから。

もう諦めかけていた。


違う高校を選んだのかも知れない。


それか――…私のことなんて忘れてしまったのかも知れない。



そんな気持ちで、入学式の会場へ入った。





その時―――…。




「また……会えたね」


心地良い、優しい声が聞こえた。



「あっ……」




振り向くと、そこには……



「僕は――…A組の相澤悠。よろしくね?」



最上級の笑みを浮かべた彼が立っていた。





「D組の松沢柚莉です」




また会えたことで胸がいっぱいで。


それだけしか言えなかった。