――陸side――

13日、放課後。

俺はボー然としていた。


その理由は―――……。


「うん、だからね。明日は、クラスの子たちと遊ぶから」


昼休みの表情とは、打って変わり……笑顔でそう言われたから。


いや、泣きそうな顔でいられるのもイヤなんだけど。

でも、ちょっと複雑だ。


「マジで?」

「うん、5限目の休み時間に誘われたの」


クラスのヤツらから誘われて嬉しかったのか、ニコニコとしながら話す。


「だから心配しないで、会議行ってきて?」

「あ、あぁ……」


ね?というように顔を少し傾ける杏。


――グイッ


「ひゃあ……」


杏の華奢な腕を少し引っ張って、腕の中に閉じ込めた。


「ごめん、遊園地は今度行こうな?」


強く抱きしめたまま、耳元で囁くように言う。


「うん」


そう言うと、小さな体がもぞもぞと動いて、抱き着いてきた。

サラサラの黒髪を撫でる。