彼の目が探しているのは、男の子みたい。
目線を追っていく中でわかった。
初めて会った人だけど、隣にいるのが居心地良い。
ゆっくりと時間が流れているような気がした。
「……りー……ゆりー……柚莉〜〜?」
杏樹の私を呼ぶ声が聞こえる。
キョロキョロと周りを見渡すと、黒髪をみつあみにして眼鏡をかけた女の子が、私を探していた。
「杏樹っ……!」
名前を呼ぶと、私を見つけて駆け寄ってくる。
「友達来たみたいだね」
「あっ……はい」
「これからも気をつけてね。男は狼だから………」
ポンポンと頭を撫でられた。
最高級の微笑みで。
「僕も来たみたい。じゃあ…入学式で会えると良いね」
「………ッッ……」
ヒラヒラと手を振って友達の方へ歩いていく。


