「わぁ~!ありがとうございます!」
赤くなんて、まったくならず、笑顔で礼を言われる。
ペコッと女が頭を下げた。
予想外の反応に、俺の方が一瞬固まる。
「なにかお礼しなきゃ!」
そう言う女の呟きが聞こえた。
『礼は体で』
俺の基本はそうなっていたモノだから、この女にもそうしようと考えていた。
笑顔で口説けないなら、甘いことを囁いて、落とそう。
なんて、思っていたのに。
「あれ?首筋のところ、虫に刺されました?」
「は?」
「だって、赤くなっているし……」
「いや、これは……」
少しだけ着崩したシャツから見えたらしい。
女が俺の首を指摘する。
つーか、コイツ知らないんだ。
この赤いモノが、キスマークだってこと。
昨日ヤった女につけられたんだよな。
「虫刺されとかじゃないから。大丈夫だよ」
そう言って、笑顔で誤魔化した。
これは、ベッドまではなかなか遠いかも。
でも、口説いたら、すぐに脚開くよな。
俺の今までの経験で、もうわかる。
こういう女って、ガードが堅そうに見えて、男を知らないから簡単にヤれる。
大丈夫だ。
あともう少しで口説き落とせるから。
その瞬間―――。
「見つかったぁ~~?」
俺の後ろから、もうひとりの女の声が聞こえた。


