地味子の秘密*番外編*

そう考えて、女に近づく。

俺が予想していたのは、声をかけられて、俺を見た瞬間に顔を赤く染めるというものだった。


だから―――。


「ねぇ」


学校での王子様のように、完璧な仮面を張り付けて声をかけた。

本棚ばかりを見ていた女が、こちらを向く。

さぁ、ゲームの始まり。

まずは、顔を見て頬を染める。

そういうシナリオを頭の中で作っていたのだが。


女の反応は―――……。


「はい?なにか?」



キョトンとした表情で、俺を見上げている。

まー……前髪が長くて、あんまり顔は見えないんだけど。

少なくとも、今までの女たちとは違う反応だった。


でも、このくらいの反応じゃ、まだわかんねー。

早く口説き落として、ベッドに連れ込むか。


「キミが探しているのって、この本かな?」


タイトルが見えるように、女に向かって差し出した。


「え?あっ!」


表情が一転。

パッと、うれしそうなものになる。


「あっていたみたいだね。はい、どうぞ」


女の手に本を乗せた。

しかし、女は不思議そうな顔をする。


「あの、なぜ……あなたが?」

「タイトルを呟いている声が聞こえてね、ちょうど僕の目の前にあったから。ほしかったんでしょ?」


ニッコリと微笑んで見せた。

ここで、女は顔を赤くする。


そう思っていたのに、反応は違った。