地味子の秘密*番外編*

……うわ。

昼間からかよ。

ため息をついて、頬杖をついた。

教室の窓の外にあるベランダ。

ここは、校舎の4階だ。

フツーの人間が、登って来られるところじゃない。


だが……いた。

髪を振り乱し、手足は引きちぎれていて。

両目がえぐり取られている。

全身血だらけの女が、ベランダの柵にしがみついていた。

必死に、この教室へ入ってこようとしている。


周りに言えないこと。

それは、俺が幽霊や妖怪が見えているということ。


「おいおい、ヤベェんじゃねーのか?」


ポツリとひとりで呟く。

この様子が見えているのは、俺だけ。

悠にも、見えていない。

ましてや、クラスの誰にも。


しばらく見ていると、力尽きたのか、ズルズルと柵の向こう側へと女は落ちて行った。


俺のこの力は、生まれつきだった。

周りには、つねに、何かしらいて。

話しかけると、会話も出来たりしていた。

だから、もちろん。

周りのヤツらにも見えているものだと思っていたのだが。


「あら?そんなのいないわよ?」


保育園の頃、ババァに問いかけたら、そう返って来た。

親父も、ババァも、姉貴も、悠も。

家にいるお手伝いさんも全員、俺と同じものが見える人はいなかった。


『俺って、おかしいのか?』

いつからか、そう考えるようになっていた。


だから……誰にも、このことは言わないようになった。


生まれて、14年。

幽霊や妖怪が見えるヤツなんて、出会ったことがない。

そいつに出会えたら、さぞいい友達になれるんだろうな。


そういつも思っていても、実際には出会わなかった。