「あぁ…。でも私なんてどこがいんだろ…?」
「え?」
研究室も終わりみんな帰り静かなアトリエの中。
突然、絵を描いていたはずの仁美がこちらを振り向いた。
「…え?・・・呟いてた?」
「うん。バッチリ。『どこがいいのかな?』って。悩み?」
「………。どっちか言えばノロケ…?」
「…なんだ。まぁ、聞いてあげてもいいけど。」
なんて笑顔で言うから…
話してみた。
これまでの話を長々と。
仁美は同じ研究室で学科も同じ。
授業も同じだし、よく一緒にいる。
仁美は恋愛話なんてしないけど…というかないんだよね、彼女の場合。
だけどイロイロ有りすぎる私の話はよく聞いてくれる。
「…ホントに毎回イロイロと……。」
散々話終わって、仁美は笑いながら言う。
「…すみません。」
…返す言葉もない。
「ま、でも朱香でいいかどうかは彼に聞きなよ。」
「…だよね?ありがとう。」
だよね。
本人しか解らないよね。
ね、重樹。
私なんかでいいの…?
ぐだぐだだよ?
うるさいよ?
空気も読めないし。
おっちょこちょいだし。
大雑把。
料理もできない。
顔だって十人並み以下。
ちびっ子細いよりはふくふく寄りだし…。
優柔不断。
一つ上だし。
いいの…?