「ちなみに映画はもう行ける?」
こうなる前に誘ってくれた映画。
付き合ってた人いたから友達とは行けないって断って…。
でもホントは嬉しくて。
行きたかった映画。
「…ん。」
「ん?」
「…うん。逃げないように努力する。」
絶対照れて、逃げたくなるだろうけど…。
「はいはい。じゃ時間見てまた連絡するね。」
「うん。」
いつもバイトじゃどちらか言えばしっかりハッキリな私なのに…。
てか重樹だって反則だよね。
すごく可愛い笑顔。
いつもと違う顔。
そんな幸せそうな顔で近寄られたら…ズルイ。
「なんだか重樹ちゃんに勝てる気がしない…」
悔しい。
…のに嬉しい。
のがまた悔しい。
「勝てる気がしないとか素直だなぁ、なんかかわいーなぁ。」
「…うざっ!!」
可愛いとか!!
どの口が言うの!!
反則…!!!!
「かわいーって言ったのにうざっとか言うな。」
コツン。
と頭を小突かれる。
「…だって。」
体温急上昇。
言葉にならない。
「はいはい。それじゃぁ俺まだ学校行って薄片作らなきゃならんから、また後でメールするよ。」
重樹は黙った私を見て帰宅準備を始めた。
「あ…はぁい…。」
ちょっと残念。
エンジンまでかけちゃって。
寂しいのは私だけ?
「じゃぁね。」
「はーい。」