☆裕也side☆
「苺…だったけ」
一人残された教室で彼女のことを思い出していた。
名前を覚えていたのは、彼女の名前が変わっていたから。苗字までは覚えていない。
入学式初日、特に話題のないクラスメイト達が、彼女を“小さい”と話題にしていた。
自己紹介をしている彼女を見て、俺もそう思った一人だった。
耳の下で結んだツインテール。くりくりとした瞳の彼女は、ちょうど近所の小学6年生の子と同じくらいの身長で、ブレザー胸元の青いチェックのリボンが大きく見えた。
真近で見た彼女は、本当に小さくて…失礼だけど同い年とは思えなかった。
「裕ちゃーん?帰らないの?」
廊下から麗奈の声。
麗奈とは付き合っているわけじゃないけど、まるで付き合っているかのような親しい幼なじみ。
「おー…」
カバンを持ち、教室を出た。
これが、俺と津田の出会いだった。



