ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*


「他に…好きな人が出来た…」

怒られても、軽蔑されても、嘘はつけない。

「…分かった」

雅人の静かに言う声が聞こえ、
はっと顔を上げると、

「長い間、ありがとう」

怒るわけでもなく、悲しむわけでもなく…雅人は穏やかな顔で笑っていた。

「ありが…とう…」

何故だろう、フったのはわたしの方のはずなのに…

わたしの顔が歪む。

「じゃあ」

机の上に置かれていたレシートを持って、雅人は立ち上がった。

「…っ」

一瞬、追い掛けようとしたのに、追い掛けられなかったのは、

追い掛ければ、雅人をもっと傷つけることになるから…。


この日、初めて“恋愛”で泣いた。

この日、初めて雅人がわたしのことを、どれだけ真剣に思ってくれていたか知った。


お調子者で、デリカシーのない奴だけど、わたしのことは…人一倍大切にしてくれていたんだ。