ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*


しばらくして、苺は西藤くんに見つけられた。

雅人は苺に謝っていたけれど、

少し気になっていただけに、わたしは彼を許すことが出来なかった。


それから、メールをすることも、話をすることもなくなり…
この恋は、終わったかに見えた。


だけど、2年生になったある日…

「中野」

廊下で声をかけられた。

振り向くと、そこに居たのは雅人。

クラスが変わって、久しぶりに見る姿…坊主頭は相変わらずで、野球を頑張っているのが、見て取れる。

「ちょっといい?」
「…」

少し迷った末、頷いた。


風の当たる中庭で、雅人は口を開いた。

「津田さんのことはごめん。ホントひどいこと言ったって、反省してる」

“津田さん”とは、苺のこと。

「謝ったんでしょ?だったらもういいじゃん。わたしに謝ることじゃないと思うけど」

「待って」

教室へ戻ろうとしたわたしの腕を、雅人は掴んで止めた。


「俺…今も中野が好きだから、中野に許してもらいたいんだ」


お調子者の雅人は、いつにもない真剣な目で、わたしを見つめる。


サァー…っと風が吹いた。