夏祭り当日。
たまたま会った西藤くんを交えて、結局4人で回っていた。
「あれ、苺は?」
ふと、異変に気がついた。
苺が…居ない。
ほとんど雅人と話をしていたわたしは、苺がいつ居なくなってしまったのか、分からない。
急な不安に襲われる。
辺りはもう暗くて…人は増す一方。
もし、苺に何かあったら…。
「まぁそのうち戻って来んじゃね?それとも、迷子のお知らせしてもらう?」
信じられない言葉を聞いた。
それは…隣に居た雅人の言った言葉で、しかも笑っていた。
「さっ…!」
“最低”あたしがそう言おうとした時、
「お前な!津田は女だぞ!?何かあったらどうするんだよ!!」
鋭い目で、西藤くんが雅人を怒った。
唖然とする雅人を置いて、
西藤くんは、人混みの中に走って行く。
この瞬間、苺は西藤くんと結ばれる運命なんじゃないかと思った。
「最低だね」
残されたわたし達は、二人きり…。わたしは雅人を、軽蔑する目で言った。
「中野っ」
雅人は弁解しようとしたけど、そんなの聞きたくないと、そっぽを向いた。



