ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*


夏祭り当日。
たまたま会った西藤くんを交えて、結局4人で回っていた。

「あれ、苺は?」

ふと、異変に気がついた。

苺が…居ない。

ほとんど雅人と話をしていたわたしは、苺がいつ居なくなってしまったのか、分からない。

急な不安に襲われる。
辺りはもう暗くて…人は増す一方。

もし、苺に何かあったら…。

「まぁそのうち戻って来んじゃね?それとも、迷子のお知らせしてもらう?」

信じられない言葉を聞いた。
それは…隣に居た雅人の言った言葉で、しかも笑っていた。

「さっ…!」

“最低”あたしがそう言おうとした時、

「お前な!津田は女だぞ!?何かあったらどうするんだよ!!」

鋭い目で、西藤くんが雅人を怒った。

唖然とする雅人を置いて、

西藤くんは、人混みの中に走って行く。

この瞬間、苺は西藤くんと結ばれる運命なんじゃないかと思った。

「最低だね」

残されたわたし達は、二人きり…。わたしは雅人を、軽蔑する目で言った。

「中野っ」

雅人は弁解しようとしたけど、そんなの聞きたくないと、そっぽを向いた。