「ん…?」
言った意味が分からない、そんな顔をする雅人。
「…アドレスっ!」
恥ずかしいと思いながら、声を荒げて言うと、
「マジでっ!?」
両肩を、がしっと捕まれた。
「うん。ちょっと…痛いよ」
「あっ!ごめんっ!」
その時、雅人はとても嬉しそうな顔をして…
その笑顔が初めて、わたしをドキッとさせた。
高校生の恋愛は単純なもので、アドレスを交換したことにより、急速に発展していく。
一度メールで告白されたのだけど、わたしは返事を渋っていた。
そしてそのまま…初めてデートの約束をした。
「お願い!苺付き合って!」
「えぇーっ」
「だって、いきなり二人きりで遊ぶのなんか無理!」
約束したのは夏祭り。
男の子と二人で遊ぶことなんて初めてだし、夜…ということもあって、わたしは苺に付き添いをお願いした。
「しょうがないなぁ…」
優しい苺は、笑顔で承諾してくれた。
苺を連れて来たことで…少しずつ近付いた雅人との関係は、一度壊れることになる。



