二人を見ていると、思い出さずにはいられない、自分の恋…。
わたしにも、高校から付き合っていた彼が居た。
高校に入学して間もない頃…
わたしは彼に声かけられた。
「中野さん、アドレス教えて?」
「え…」
川原 雅人。
坊主頭の彼は、野球部のお調子者。
「…やだ」
「えぇっ!?」
わたしはぷいっと顔を背けた。
はっきり言って、タイプじゃなかった。
きっぱり断った訳だし、ボーイッシュなわたしははたから見れば、キツそうな性格で、普通ならこれで諦めるだろう。
だけど、奴は違った。
「ねー、中野さん、どこの委員会入る?」
「今日一緒に帰ろうや!」
それから…やたらわたしに、付き纏う様になったのだ。
ちょっとウザイと思うことはあっても、何故か憎めない性格で、一緒に居るのが楽しく思う自分も居た。
「…教えてあげてもいいよ」
高校に入学して、2か月くらい過ぎた頃、わたしは自分からそう言った。



