朝から誰だろう…?
「はーいっ」
あたしはパタパタと玄関へ急ぐ。
何の躊躇いもなく、すぐに玄関のドアに手を掛けた。
ガチャ…
「ちゃんと誰か確かめてから開けろって、いつも言ってんじゃん」
え-…。
開けた瞬間聞こえた声に、体が固まる。
目の前は、誰か男の人の胸の下…。
ゆっくりと顔を上げる。
茶色がかった髪が、風に少し揺れて…
綺麗な顔は微笑んでいた…
裕くん-…。
「なっ-…」
“何で”そう言おうとしたのに、言葉にならなかった。
驚きと、
喜びと、
夢かもしれないっていう不安が、
胸の中でぐちゃぐちゃになる。
すると、裕くんは大きな手で、あたしの頬に触れた。
冷たいけど…暖かい。
夢じゃない-…。
「ただいま、苺」
優しく微笑む顔が、滲んで見える。
こんな予定なんて、全然なかったのに…。
あ…
由紀ちゃんのドタキャンと、メグちゃんの笑い声が重なった。
みんな…意地悪。
そう思いながらも、心は暖かいものに包まれる。



