そっと唇が離れると、
目の前には裕くんの笑顔。
自然とあたしも笑顔になって…
照れたように、二人で笑い合ったー…。
「裕くん…あのね…」
そう、一つ忘れかけていたこと。
ペアリングを貰ったことで、思い出した。
「あたしもね、渡したい物があるんだ…」
「…何?」
不思議そうにあたしを見る裕くんに、にこっと笑って返事した。
渡したい物…。
あたしの机の横に、掛けられている紙袋。
その中には…
あたしが育ててた、イチゴが入ってる。
あたしの代わりに、連れて行ってほしくて…
今朝、ポットに植え替えて、持って来たんだ。
荷物になっちゃうかもしれない。
それでも、近くに置いていてほしい…。
イチゴはあたし-…。
あたしはイチゴ-…。



