あたしは黒板を見上げた。
あたしが書いた言葉は、
“好き”
それは、あたしが高校生活の中で、初めて知った気持ち…。
ちょっとしたことで、嬉しくなったり…
ちょっとしたことで、悲しくなったり…
甘く酸っぱいそれは…
まるで、イチゴのような気持ちだったんだ…。
明日になったら黒板の文字は、きっと誰かが消してしまうだろう。
だけど、
あたし達の気持ちまでは、消えない。
離れていても、お互いを想う気持ちで、繋がってる。
今、ここで…
あたし達が初めて出会った、この場所で…
“永遠”を誓い合ったから-…。
「苺…」
名前を呼ばれて、裕くんの方を見る。
ゆっくりと、裕くんの顔が近付いて来て…
あたしは合わせるように、目を閉じた。
唇に当たる、柔らかい感触…。
裕くんのしてくれるキスは、
いつだって優しい-…。
出会えて良かった…。
本当に、裕くんに出会えて良かった…。



