体中に感じる温もりと…
裕くんの優しい匂い…
抱きしめられると、いつも幸せを感じた…。
だけど…どうして…?
今日はそれが辛くて、寂しくて、
苦しいよ-…。
あたしは裕くんの背中に手を回して、ぎゅっと上着を掴んだ。
行かないで…
行かないで…
行かないで-…。
我慢していた気持ちが、涙と一緒に溢れ出す。
どうしてこんなに弱いんだろう…。
どうして笑ってあげられないの…?
「苺…」
優しく声をかけてくれる裕くん。
裕くんがK大に行くこと、納得してないわけじゃない…。
理由を聞いて、本当に“すごい”って思った。
あたしは“黒板の一番上に文字を書く”っていう、小さな“挑戦”すら、一人では成功しなかったのに…
裕くんは一人で、大きな“挑戦”を成功させた…。
それは、自分の頭で行ける学校を、手っ取り早く選んだあたしを、納得させるには充分な理由で…。
だから、新しく旅立つ裕くんを、応援してる。
だけど離れるのが、
怖くて、不安なの…。
「苺」
いきなり抱きしめていた手を解いて、裕くんはあたしの体を離した。



