「…すごいねっ!」
「……え…」
自分の耳を疑う。
「裕くんすごいねっ!」
笑顔で言う苺。
どうやら自分の耳は、おかしくないらしい。
「…なんで?」
何が“すごい”のか、疑問に思った。
「だって裕くん合格したでしょ?すごいよっ!」
その言葉を聞いて、何だか笑えてきた。
どうしてこの子は、
こんなに無垢なんだろう…。
苺の笑顔に、ほっとする-…。
「あっ、あたしも挑戦したい事があるのっ」
少し駆け足で黒板の前に立った苺は、白のチョークを手に取った。
「一番上に文字、書いてみたかったんだ」
つま先で立って、手を一生懸命に伸ばすけど…
一番上には、届きそうもない。
何を思ったのか、それは唐突な行動…。
確信があるわけじゃないけど、なんとなく俺のためかな…って思ったのは、
気持ちが楽になったから…。
俺は苺の後ろに立って、苺を抱き抱えた。
「えっ…!?」
一瞬戸惑う様子を見せたけど、苺はそのまま、黒板に向かっていた。
相変わらず、
軽くて…
小さい…。
「…いいよ」
何かを書き終えた苺を、俺は降ろすと、
「-…」
黒板に書かれた言葉を見て、湧いて来るような気持ちが、込み上げた。



