袖を引っ張るのは、“手を繋いで”っていうサイン。
だけど、今まで隣を歩いていても、学校で引っ張られたことは、なかった。
「…だめ?」
恐る恐る言う苺に、ふっと微笑んで、手を握る。
ただ単に、人が居ないと思ったのか…
それとも、他の思いがあったのか…
苺の気持ちは分からないけど、
ただ苺の手は、温かかった…。
「教室…?」
「そう」
言いながら、ドアを開ける。
良かった…カギはかかっていない。
来たかった場所…それは教室。
でも、3年の自分のクラスではなくて、1年生の教室…。
「もうみんな帰っちゃったのかな?」
「多分な」
荷物などは見当たらなくて、誰かが戻って来る形跡はない。
「なんか…懐かしいね」
教室の中を、ゆっくりと歩きながら、苺が言った。
「あぁ…」
机の配置は学年問わず、どのクラスも同じ。
壁に張り付けられた掲示物は、見慣れない物。
俺らが1年だった時とは、全く違う雰囲気になってしまった教室なのに…
苺の言った通り、
“懐かしい”って感じた…。



