ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*


「ねぇ、マジで何もなかったわけ?」

大和がしつこく聞いてくる。

「あぁ」

俺は答えながら、中野と間に挟まれて、話をしている苺を見た。

赤く頬を染めて、困った表情をしている。
きっと内容は、こっちと似たものなんだろう。

「マジかぁ…」
「お前らが勝手にやったことだろ」

言うと、何故か大和は落ちこんだ表情を見せた。

そういえば…昨日怒っていたはずなのに、今朝は普通に話してくる。

大和は昔から喧嘩しても、1日過ぎれば忘れてしまうっけ。

それが良い所かもしれない。


「どこ行くんだよ?」

足を進めかけた俺を、大和が引き止めた。

「外、朝の空気吸いに」

また足を進めようとしたが、止まる。

「大和…」

言い忘れていた。

「ありがとう」

大和が居たから、苺と仲直りすることが出来た。

居なかったら…連れてきてくれなかったら、今もきっと苺とは上手くいってなかっただろう。

なかなか素直に言えないけど、今日は言えた。

大和は照れたように、でも嬉しそうに笑った。

苺の方をもう一度見ると、苺も笑っていた。

俺も自然と笑顔になる…。


前へ進もう。

応援してくれる人に、感謝しながら。