「い−…」
“苺”そう呼ぼうとして、止めた。
もう彼氏じゃないのに、名前で呼ぶのは、おかしいかもしれないと思ったから。
「…何してんの?」
「えっ…あっ…!」
振り返った苺は、俺の顔を見て驚いた。
少し傷付いたのは…すぐに目を逸らされたから。
苺は自分の掌の中の、オーナメントを見る。
「えっとね…飾り付けしてたんだけど…」
届かないんだよな…。
見てたから、それは分かる。
「どれ?」
俺は苺に近寄って、掌を見る。
「えっ…」
動揺したのか、苺の手はビクンと震えた。
掌にあったのは…
星−…。
俺はそのまま、苺の掌から星のオーナメントを取る。
俺の指が苺の掌に、微かに触れる…。
俺の方が動揺してる。
苺が目の前に居ると思うだけで、緊張して…顔なんか見れない。
「どこ…?」
受け取った後、すぐ苺に背を向けるように、ツリーの方へ向いた。



