ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*


「裕也、お前苺ちゃんと、飾りつけしろよな!」

ほら…やっぱり…。

ちらっと横目で苺を見ると、困ったように俯いている。

「やだよ。俺、勉強するから」

俺は大和に視線を戻す。

「ちょっ!」
「…勉強してていいって言ったよな?」
「言ったけど…」
「間、寝室どこ?」
「えっ…廊下出て、左…」
「わかった」

俺は荷物を肩にかける。

「苺ちゃん一人にする気かよ!」

移動しようとした俺の肩を持って、大和が止めた。

「じゃあ…お前が残れば?」
「っ…」

少し喧嘩っぽくなってしまったやり取りを、みんなただ見ていた。

「あの…あたし、一人で大丈夫だから…ね?」

苺の声が、背後から聞こえた。

俺は振り向かずに、そのまま足を進めて部屋を出た。


俺はつくづく、酷い奴だと思う。

でも、二人きりで一緒に居るなんて、耐えられない…。

苺だって、きっとそうだと思う。

別れた男なんかと、一緒に居たくないよな−…。