「裕也、お前苺ちゃんと、飾りつけしろよな!」
ほら…やっぱり…。
ちらっと横目で苺を見ると、困ったように俯いている。
「やだよ。俺、勉強するから」
俺は大和に視線を戻す。
「ちょっ!」
「…勉強してていいって言ったよな?」
「言ったけど…」
「間、寝室どこ?」
「えっ…廊下出て、左…」
「わかった」
俺は荷物を肩にかける。
「苺ちゃん一人にする気かよ!」
移動しようとした俺の肩を持って、大和が止めた。
「じゃあ…お前が残れば?」
「っ…」
少し喧嘩っぽくなってしまったやり取りを、みんなただ見ていた。
「あの…あたし、一人で大丈夫だから…ね?」
苺の声が、背後から聞こえた。
俺は振り向かずに、そのまま足を進めて部屋を出た。
俺はつくづく、酷い奴だと思う。
でも、二人きりで一緒に居るなんて、耐えられない…。
苺だって、きっとそうだと思う。
別れた男なんかと、一緒に居たくないよな−…。



