「ごめんっ!遅くなった!」
少し気まずくなった雰囲気を、打ち消すように現れたのは、川原だった。
「もー、何でいつも遅刻するわけっ!?」
中野は手に持った鞄で、軽く川原を小突く。
口ではそう言いながらも、中野の顔は笑っていた。
この二人…まだ続いてたんだな…。
微笑ましく思う反面、うらやましいと思う。
自分は−…。
苺を見ようとして止めた。
もう探さないって決めたんだ…。
「ねぇ、みんな揃ったんだしら早く行こぉ?」
間の声でら出発することになった。
別荘は少し遠くにあるらしく、電車で移動。
苺と中野と間と川原は仲良く4人掛けの席に座り、俺と大和は4人から少し離れた場所に座った。
「マジうぜー…」
窓に頬杖をつきながら、隣の大和をちらりと見る。
「ごめんって〜。でも、着いて来てくれて感謝してるから!」
別に感謝されたくない…。
「お前、何がしたいわけ?」
だいたいの予想はつくけど、念のため聞いた。
「苺ちゃんとより戻せば?って…」
バシッ
大和が言い終わるより早く、俺は大和の頭を、手に持った本で叩いた。



