何が楽しくて、クリスマスを男と二人で、過ごさなきゃならないのか。
普通なら、大和がそう言うはずなのに…今年はちょっとおかしい。
「裕也ぁ…勉強してていいからさぁ…」
大和はもう一度、手を合わせる。
「言われなくてもする…家で」
「いや、別荘静かだし、絶対はかどるって!」
「家も静か。ってか、お前がいる時点ではかどらない」
「…」
大和は口を閉じて軽く睨んだ。
そして、背を向ける。
「あー!分かったよ、分かった!裕也の言う通り、女の子誘うことにするわ!」
始めからそうしろよ…と、心の中で思う。
「苺ちゃん誘ってみよ♪」
ガタンッ
「何…裕也」
大和が振り返る。
俺は席を立って、大和の肩を掴んでいた。
「何で苺なんだよ」
「何でって…裕也こそ何で?もう別れたんじゃねーの?」
「…」
何も言えない。
「俺、今気に入ってるの苺ちゃんくらいだし。それに、しょうがねぇじゃん?裕也に断られたんだからさ…」
大和が俺をはめようとしていることは、すぐに分かった。
だけど…
「行くよ!行けばいいんだろっ!」
大和の肩から手を離し、椅子に倒れ込むように座った。
「サンキュー、裕也っ♪」
大和は、満足そうに笑う。
不本意だが、今年は大和に付き合ってやろうと思った。
大和と二人なら、気兼ねする事もないし…まぁいいだろうと思い込んだ。
だが…。



