あたしはそのまま、屋上に残っていた。
裕くんの邪魔はしたくなくて、
でも、寂しさに負けて、
終わりにしたはずの恋…。
本当は終わってないのかな…。
あたしは首の後ろに手を回し、ネックレスを外した。
空へと掲げるように、それを見る。
イチゴのネックレス…。
あたしの首輪…なんだっけ?
くれた人が、ご主人様だと言うのなら、
あたしのご主人様はもういない。
あたしから離れたはずなのに…
確かに変だね。
ずっとネックレス付けてるなんて…。
あたしはくるりと回り、フェンスの方を向くと、外を見る。
そして、掌の中のネックレスを見つめた。
これを捨てたら…終わりにできる…?
「……無理だね」
あたしはふっと笑って、ネックレスを握りしめた。
だって…好き。
好きな限り、終わらない。
でも、どう頑張ればいいの…?
そのまま…しばらく考えたけど、答えは浮かばなかった。
だけど…一つだけ確かなことがある。
あたしは、手を首の後ろに回して、ネックレスを付けた。
翔くんだってきちんと前に進んでる…。
だから、あたしだって進まなくちゃ。
冷たい風の中、あたしは1歩踏み出した。



