ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*


あたしはそのまま、屋上に残っていた。


裕くんの邪魔はしたくなくて、

でも、寂しさに負けて、

終わりにしたはずの恋…。

本当は終わってないのかな…。


あたしは首の後ろに手を回し、ネックレスを外した。

空へと掲げるように、それを見る。

イチゴのネックレス…。

あたしの首輪…なんだっけ?

くれた人が、ご主人様だと言うのなら、

あたしのご主人様はもういない。

あたしから離れたはずなのに…
確かに変だね。

ずっとネックレス付けてるなんて…。


あたしはくるりと回り、フェンスの方を向くと、外を見る。
そして、掌の中のネックレスを見つめた。

これを捨てたら…終わりにできる…?


「……無理だね」

あたしはふっと笑って、ネックレスを握りしめた。

だって…好き。

好きな限り、終わらない。


でも、どう頑張ればいいの…?


そのまま…しばらく考えたけど、答えは浮かばなかった。

だけど…一つだけ確かなことがある。

あたしは、手を首の後ろに回して、ネックレスを付けた。

翔くんだってきちんと前に進んでる…。

だから、あたしだって進まなくちゃ。

冷たい風の中、あたしは1歩踏み出した。