「それが…良くないんだよなぁー」
「どうして?」
あたしは首を傾げる。
「何ていうか…素直になれないっていうか…いつも喧嘩みたいになる…」
翔くんは、ため息を一回ついた。
「気持ち…伝えてないの?」
あたしの問いに対して、頷く。
「あいつに好きとか言うの、一生無理かも…」
いつも女子と気軽に話すことが出来て、あたしにもすぐに告白してきたのに…今、顔を赤く染めて悩んでいる。
一体、翔くんをこんなにする女の子は、どんな子なんだろう。
少し気になりつつも、あたしは微笑んで「頑張れ」と、だけ言った。
「あー…やっぱり、あいつやめて苺先輩にする。苺先輩かわいすぎっ!」
「えっ!?」
思わず後ずさりしたあたしを見て、翔くんは「冗談、冗談」と、言いながら苦笑した。
「でも、マジで西藤先輩とこのままだったら…俺、本当に苺先輩狙いでいくから」
翔くんは背中を、フェンスから離す。
「俺も頑張るからさ…苺先輩も頑張れ」
「うん…ありがとう」
あたしが返事すると、翔くんは安心したように笑って、屋上を後にした。



