「もう…自分の気持ちに素直になっても、いいんじゃない?」
「…」
黙り込むあたしを見て、翔くんはふっと笑った。
そして、
「まっ、そーゆー俺も、なかなか素直になれないんだけどっ!」
大きな声で言った。
「…何かあったの?」
「あー…っ」
翔くんは、少し顔を赤らめる。
「何?」
「えーと…じゃあ、苺先輩だけに言うけど…」
「うん?」
みるみる赤くなる翔くんは、何だか可愛い。
「…好きな奴、出来たんだ」
「えっ!?」
思いがけない告白。
「俺、苺先輩のこと好きとか言ってたのに…最悪だと思う?」
少しだけ、翔くんは切なそうな顔をした。
「全然っ!全然思わないよ!むしろ嬉しいよっ!」
それは、間違いなく本心で…。
翔くんは優しく微笑んで、「ありがとう」と言った。
「でも“嬉しい”は、俺的にちょっと悲しい」
「えっ!?ごめんっ!」
「冗談だよ」
今度はイタズラに笑う翔くん。
つられるように、あたしも笑う。
いつでも、翔くんと居ると自然に笑顔になるんだ…。
「ね♪好きな人って同級生?」
「…そう。んで、バレー部」
「へぇ♪いいねっ♪」
照れながら話す翔くんを見ると、本当に嬉しくなる。



