ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*


「もう…自分の気持ちに素直になっても、いいんじゃない?」

「…」

黙り込むあたしを見て、翔くんはふっと笑った。

そして、

「まっ、そーゆー俺も、なかなか素直になれないんだけどっ!」

大きな声で言った。

「…何かあったの?」
「あー…っ」

翔くんは、少し顔を赤らめる。

「何?」
「えーと…じゃあ、苺先輩だけに言うけど…」
「うん?」

みるみる赤くなる翔くんは、何だか可愛い。

「…好きな奴、出来たんだ」

「えっ!?」

思いがけない告白。

「俺、苺先輩のこと好きとか言ってたのに…最悪だと思う?」

少しだけ、翔くんは切なそうな顔をした。

「全然っ!全然思わないよ!むしろ嬉しいよっ!」

それは、間違いなく本心で…。

翔くんは優しく微笑んで、「ありがとう」と言った。

「でも“嬉しい”は、俺的にちょっと悲しい」
「えっ!?ごめんっ!」
「冗談だよ」

今度はイタズラに笑う翔くん。
つられるように、あたしも笑う。

いつでも、翔くんと居ると自然に笑顔になるんだ…。

「ね♪好きな人って同級生?」
「…そう。んで、バレー部」
「へぇ♪いいねっ♪」

照れながら話す翔くんを見ると、本当に嬉しくなる。