ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*


「嘘つき」

頷いたあたしに、翔くんは一言で返した。

「へ…?」

思いがけない言葉。
嘘をついたつもりなんて、全くない。
本当に終わりだから…。

「何で…?」

“嘘つき”の理由が分からず、聞いた。

「だってさ…」

翔くんは一度空を見上げると、また視線をあたしに戻した。

「ネックレスしてるじゃん」

「え…」

反射で首元を触る。

触らなければ、その存在が分からないほど、ネックレスはあたしの首に馴染んでいた。

「それ、西藤先輩からでしょ」
「えっ…何で?」

翔くんに、ネックレスのことを話した覚えはない。

「だって苺先輩の首元、いっつもチェーンが見えてんだもん」

翔くんは、両手を頭の後ろで組んだ。

「そんなに大切にしてるのって…俺、西藤先輩に貰った以外、考えらんねー」

言いながら翔くんは笑う。

本当に翔くんには、バレバレだ…。

「今もしてるってことは…終わってないってことじゃん?」

「…」

あたしは何も言えない。

自分では、本当に終わりにするって、思ってた。

だけど、ネックレス…ずっと付けてた…。

実際は、翔くんの言う通りなのかもしれない。