「嘘つき」
頷いたあたしに、翔くんは一言で返した。
「へ…?」
思いがけない言葉。
嘘をついたつもりなんて、全くない。
本当に終わりだから…。
「何で…?」
“嘘つき”の理由が分からず、聞いた。
「だってさ…」
翔くんは一度空を見上げると、また視線をあたしに戻した。
「ネックレスしてるじゃん」
「え…」
反射で首元を触る。
触らなければ、その存在が分からないほど、ネックレスはあたしの首に馴染んでいた。
「それ、西藤先輩からでしょ」
「えっ…何で?」
翔くんに、ネックレスのことを話した覚えはない。
「だって苺先輩の首元、いっつもチェーンが見えてんだもん」
翔くんは、両手を頭の後ろで組んだ。
「そんなに大切にしてるのって…俺、西藤先輩に貰った以外、考えらんねー」
言いながら翔くんは笑う。
本当に翔くんには、バレバレだ…。
「今もしてるってことは…終わってないってことじゃん?」
「…」
あたしは何も言えない。
自分では、本当に終わりにするって、思ってた。
だけど、ネックレス…ずっと付けてた…。
実際は、翔くんの言う通りなのかもしれない。



