ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*


翔くんは、あたしの横のフェンスに、もたれ掛かった。

何故だろう…。
隣に立った翔くんに、違和感を少し感じる。

「おめでとう、苺先輩」
「え…?」
「大学合格」

誰かから聞いたのだろう。
翔くんは優しく微笑む。

「ありがとう」

あたしも微笑んだ。

翔くんと2人で話すのは、随分と久しぶり。
かなり前…お昼の一件があって以来、お互いに二人きりで話さないようにしてたのかもしれない。

あの時は…裕くん嫉妬してくれたんだっけ…。

「今、西藤先輩のこと考えた?」
「えっ!?」

思ってもみない発言に、あたしは驚いたけど、次の言葉で分かった


「苺先輩のその顔、見飽きたよ」

そっか…。

翔くんはあたしが片思いしてた時、ずっと一緒に居たから…。

「別れたって聞いたけど…苺先輩、まだ好きだよね?」
「…うん」

翔くんには敵わない。
嘘をついても無駄だと思った。

それに、何より…自分が言ってしまいたかったのかもしれない。

「じゃあ、何で別れたわけ?」
「あたし…邪魔になるから」
「邪魔って…苺先輩はそれでいいわけ?このまま西藤先輩とは終わり?」

終わり…。

こくん…と、1回頷いた。