翔くんは、あたしの横のフェンスに、もたれ掛かった。
何故だろう…。
隣に立った翔くんに、違和感を少し感じる。
「おめでとう、苺先輩」
「え…?」
「大学合格」
誰かから聞いたのだろう。
翔くんは優しく微笑む。
「ありがとう」
あたしも微笑んだ。
翔くんと2人で話すのは、随分と久しぶり。
かなり前…お昼の一件があって以来、お互いに二人きりで話さないようにしてたのかもしれない。
あの時は…裕くん嫉妬してくれたんだっけ…。
「今、西藤先輩のこと考えた?」
「えっ!?」
思ってもみない発言に、あたしは驚いたけど、次の言葉で分かった
。
「苺先輩のその顔、見飽きたよ」
そっか…。
翔くんはあたしが片思いしてた時、ずっと一緒に居たから…。
「別れたって聞いたけど…苺先輩、まだ好きだよね?」
「…うん」
翔くんには敵わない。
嘘をついても無駄だと思った。
それに、何より…自分が言ってしまいたかったのかもしれない。
「じゃあ、何で別れたわけ?」
「あたし…邪魔になるから」
「邪魔って…苺先輩はそれでいいわけ?このまま西藤先輩とは終わり?」
終わり…。
こくん…と、1回頷いた。



