ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*


「考え直すも何も…ね」

あたしは二人に、笑顔を向ける。

「連絡とかないわけ?」
「うん…」

電話もメールも、一切なかった。
それはつまり、裕くんが別れを承諾したってこと。

何かを期待していたのか、最初は悲しかったけど、今思えば…それが裕くんの、優しさだったのかもしれない。

「西藤くんは何やってるんだよっ!」

少しブラックの入ったメグちゃんが、腕組みをして吐き捨てた。

「多分…受験とか忙しいんだよ。それに、あたしはこのままでいいし…」
「苺、王子と別れたのって、本当にすれ違い…?」

すれ違い…。
それは由紀ちゃんとメグちゃんに、裕くんが遠くの大学に行くことを、言えなくてついた嘘。

由紀ちゃんは結構鋭いから、何か気付いたのかもしれない。

でも、嘘であって、嘘じゃないと思うから…。

「うん」

あたしは頷いた。

「でも…苺ちん」
「二人ともありがとう。でも、もういいの。ちょっと風に当たってくるね」

もう一度笑って、あたしは逃げるように教室を出た。



「わたし達、余計なこと言ったかな…」
「かもしれないけど、やっぱり苺ちんには幸せになって欲しいよぅ…」
「だね…」

由紀ちゃんとメグちゃんは、あたしの背中を見つめながら呟いた。