「分かってたよ。苺がそんなことする奴じゃないってことくらい…。なのに、ごめん」
裕くんの言葉が…ただ嬉しくて、あたしは首を横に振る。
すると、裕くんはあたしを、優しく抱きしめた。
「…裕くん?」
ドキン…ドキン…って、心臓が鳴る。
裕くんの胸からも、同じ音がするのは、同じ気持ちだからかな…。
「分かってると思うけど、俺も間と何もないから」
「うん…」
好きだから…裕くんだから、信じられる。
「ごめんな。もう…泣かさないから」
「うんっ」
“うん”って言いながら、既にあたしは泣きそうだった。
裕くんの優しい温もりは、ドキドキするけど、安心する場所。
少し懐かしい気がするのは…
しばらく、裕くんに触れてなかったからだ。
そう…メグちゃんっ!
「っ?」
いきなり離れたあたしに、裕くんは驚いた顔をする。
「あたしっ…」
あたしだけ、幸せになんて浸れない。
メグちゃんも、裕くんのことが好きで…。
メグちゃんは…。
「もう一人、苺を大切に思ってる奴が居るよ」
「え…?」
裕くんは、まるであたしの気持ちが分かったみたいに、そう言った。
「苺、下駄箱の靴の意味…知ってる?」



