ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*


「ふーん、そうなんだぁ♪」

笑うメグちゃん。
あたしは…笑えない。

胸に引っ掛かってる、何かが苦しい。

「苺?」
「苺ちん、受け取らないのぉ?」
「あ…」

前を見ると、裕くんがあたしに、教科書を差し出してくれていた。
「…ありがとう」

受け取って、笑って見せる。
普通に振る舞わなきゃ…。

「じゃあね」

そのまま、あたしは教室の中に入ろうとした…けど、

「待って、話がある」

裕くんが、腕を掴んで引き止める。

ダメだよ…。
メグちゃんが…見てる。

「ごめん、授業始まるから…また後から」
「…分かった」

裕くんは微笑んで、あたしを掴んだ手を、ゆっくりと下ろす。

「じゃあ、後からな」

あたしが頷くと、自分の教室へと戻って行った。

最近あまり話せてない…。
お昼も一緒に食べてない…。

メグちゃんの視線が気になって…メグちゃんの前で、裕くんと居ることを、必要以上に避けている。

ごめんね…。


「あれ?苺、いいの?」

何も知らない由紀ちゃん。

「うん」

だって…嫌われたくない。

メグちゃんの方を見ると、何も言わず、教室に入って行った。

メグちゃんを嫌いになれたら…裕くんは渡さないって、対抗意識を持てたら…どんなに楽だろう。

でも、あたしはメグちゃんに、嫌われたくない。

仲直りしたい。

無くしたくない。

だって、メグちゃんは、
大切な“友達”だから…。

思っているのに、改善策は見つからなくて、距離は広がる。

メグちゃんとあたしの距離…

そして−…。