「じゃあ、行ってくるね」
お昼休憩、あたしはお弁当を持って、由紀ちゃんとメグちゃんに挨拶する。
「あっ、待って苺。わたしも今日あいつとご飯食べるから、途中まで一緒に行こっ!」
「えーっ!由紀ちんも今日は居ないのぉ?
「ごめんね、メグ」
言いながら由紀ちゃんが席を立つと、メグちゃんは明らかに不機嫌って、感じの顔をした。
「メグも一緒に学食来る?」
「いーえっ、お邪魔虫はしませんよぅ。あー!メグも彼氏ほしーぃ!」
「メグ、いっぱい男友達いるじゃん。彼氏欲しいなら作れば?」
「友達は“好き”じゃないもぉん。…苺ちん、西藤くんちょうだい」
「えっ…!?」
あたしも由紀ちゃんも言葉を失う…と、メグちゃんは笑い出した。
「冗談だってばぁ〜っ!二人とも彼氏が待ってるよっ!」
「あ…うん。じゃあ、行ってくるね?」
「いってらぁ〜♪」
メグちゃんは普通に笑顔で、手を振った。
「ちょっと、びっくりしたね」
教室を出て、廊下で由紀ちゃんが口を開いた。
「うん」
「でもまぁ冗談って言ってたし」
由紀ちゃんは苦笑する。
冗談…なんだけど、一瞬ドキっとしたのは、メグちゃんが西藤くんのことを好きだったから。
応援してくれてるから、安心してるんだけど…。
「じゃあ…」
あたしは5組の教室の前で、立ち止まる。
「じゃね、苺♪」
由紀ちゃんはそのまま、少し早足で歩いて行った。



