ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*


その日の放課後−…。

帰りの支度をしていると、思わぬ人があたしを訪ねて来た。

「苺ちゃん?」

名前を呼ばれて顔を上げると、そこに居たのは…。

え………?

自分の目を疑う。

だって…

「あ…西藤くんなら、あっちですよ?」
「ありがとう。でも、今日は苺ちゃんに、用事があって来たの」
「え…?」

藤堂先輩は穏やかに、微笑んで言った。

「ちょっと、教室出れるかな?」
「あ、はい」

あたしは椅子から立ち上がる…と、

「麗奈」

西藤くんが来て、藤堂先輩の腕を掴んだ。

「麗奈、津田に何の用?」
「何、裕ちゃん。ちょっと話がしたいだけ」

藤堂先輩は、西藤くんの手をゆっくり下ろす。

「麗奈」
「苺ちゃん、いいかな?」
「はいっ」
「苺ちゃんがいいって言ってるんだから、いいでしょ?」
「…」

西藤くんは黙り込んだ。

…?

「大丈夫よ、いじめたりしないから」

藤堂先輩は西藤くんに笑った。


藤堂先輩が、あたしに用なんて何だろうか…。

いじめたりする人じゃないことは、わかってるから怖くはない。

だけど、西藤くんが来たってことは、西藤くんに関わることって意味で…

不安にならずには、いられなかった。