カシャッ
カシャッ
「ありがとう」
あたしとメグちゃんは、他の人に写真を数枚、撮って貰った。
「メグちゃんそろそろ…」
「あーっ♪」
バスに戻ろう、と声をかけようとしたけど、その声はメグちゃんの声に、掻き消された。
「苺ちん、来て来てぇっ♪」
メグちゃんはカメラを持ったまま、手招きしながら小走りで、どこかへ向かう。
あたしはそれを追った。
一体何だろう…。
答えはすぐに分かった。
分かった瞬間、足を止めてしまいそうになった。
だって…なんか気まずくて、あれ以来話せていなかったから。
目すら、合わせられずにいたから。
「西藤くぅーん♪」
メグちゃんが呼ぶと、西藤くんはゆっくりと、視線をこっちに移す。
わゎっ!!
あたしは目をそらす。
「何?」
「西藤くん、苺ちんと3人で写真撮ろうよぉ〜♪」
「えっ!?」
あたしは思わず声を出した。
ドキッ!
その瞬間…目が合って、西藤くんは一瞬だけ笑った。
「いいよ」
「マジ〜?やったぁ♪」
メグちゃんは喜びながら、たまたま通りがかった子に、カメラを渡した。
「はい、じゃあ撮るよ〜」
「はーい♪」
西藤くんとあたしの間に、メグちゃん。
メグちゃんは、西藤くんとあたしの腕を、自分の腕に絡めて、ピースした。
完璧にメグちゃんがメイン。
それでも、嬉しかった。
カシャッ
修学旅行の思い出を、残せた気がした。
「焼き増ししてねぇ♪」
「うんっ!」
あたしは笑う。
修学旅行は熱が出たり大変で…本来なら、つまらない修学旅行だったと思う。
だけど、あたしにとってはすごく重みのある修学旅行だった。
夢のようなことが起こって…
この恋が、大きく動いた−…。



