「ねぇ、どこに行くのぉ?」
もう一度、メグちゃんは聞いた。
「ど、どこにも行かないよっ?ねっ?」
あたしは焦って由紀ちゃんに、同意を求めると、
「うん」
由紀ちゃんは頷いた。
よかった…。
「でもぉ、由紀ちん苺ちん引っ張って、どこか連れて行こうとしてたよねぇ?」
メグちゃんは、あまり気にしない性格だから、普段なら「ふーん」くらいで終わるのに、今日は違った。
「ねぇねぇ教えてぇー?」
「あ…えーと…」
あたしは返事に困る。
西藤くんの所って言うと、厄介だし…。
「もぉ、苺ちんのケチーっ。じゃあ、由紀ちん教えてぇ?」
メグちゃんは、由紀ちゃんの腕を触ろうとする…
けど、由紀ちゃんは、それをスルッとかわした。
「関係ないから」
「…」
由紀ちゃんの態度に、メグちゃんはもちろん、あたしもびっくりする。
「…あぁそう。ごめんねっ!」
メグちゃんは怒ったように言い捨てて、走り去った。
「由紀ちゃん…ちょっとひどくない?」
由紀ちゃんの苦手なタイプ…ってことは、わかるけど。
「苺…あの子、気をつけた方がいいよ」
「え…?」
「なんか嫌な感じするから」
「…?」
あたしは何が何だか、さっぱり分からなかった。
確かに、西藤くんを好きっていうのは同じで…ちょっとやりにくい。だけど、それは誰が悪いわけでもない…しょうがないこと。
「ゆ…」
「あら、中野さん。そろそろ自分の部屋に帰ってね」
ちょうど先生が戻って来た。
「はーい」
由紀ちゃんは返事をして、こそっと「聞きに行けなかったね」と耳打ちした。
それを思い出すと、メグちゃんが来てくれて、助かったと思う。
…そういえば、メグちゃんはどうして来たんだろう。
あたしは少し、メグちゃんが心配になった。



