ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

☆裕也side☆


だりぃ…。
修学旅行の何が楽しいのか、よく分からない。

カシャッ

軽快なシャッター音は、“また”だ…。

他のクラスの女子に、何度写真を撮られただろう。

はっきり言ってウザイ…。
ウザイけど、いちいちウザイと言うのも、めんどくさくて放っている。



「あ、西藤くん♪」

バスに戻ると、間が話かけてきた。

無視して、自分の席に座ろうとした…が、腕を掴まれる。

「ちょっとぉ、冷たい」
「…」
「今日は、ちゃぁんと用事があって、話かけてんのにぃ!」

用事…?

「何?」
「苺ちん、まだ戻ってないんだけど、見なかったぁ?」
「一緒じゃなかったのか?」
「うん。なんか体調悪いみたいで、休むって言ってたから、メグてっきり戻ってきてると思ったんだけど…」

戻ってなかった…っていうわけか。

「早くしないと、時間なっちゃうよね〜。どこ行ったんだろう?」

津田が時間に遅れるなんて、おかしい。
いつも、時間より早く待っている子だから…。

体調悪い…

もしかして−…。

「苺ちん、どこかで倒れてたりしてぇ?」

間が言い終えるよりも早く、俺は走り出していた。

ただ、津田が心配で。



「…やっぱり、好きなんじゃん」

取り残された間が呟いた。