ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*


「麗奈の言う通り、男じゃないのかもな」

冗談混じりにそう言って、はぐらかすことしか出来なかった。

本当の事も、嘘も、言えない…。

「そろそろ帰るか?」
「そうだね…」

言いながら麗奈は立ち上がって、またベッドの上に上がり、時計と窓の外を交互に見た。

もう学校が終わった麗奈が帰宅しても、おかしくない時間。

「うん、帰る」

ベッドから降りて、床に置かれた荷物を持つ。

「じゃあ、裕ちゃんありがとう♪」

麗奈は笑って、手を振りながら出て行った。


「はぁ…」

俺はベッドに倒れ込む。

微かに麗奈の香りがする。


いい加減にしないと、本当に麗奈に気付かれる。

いや、麗奈は頭がいいから、もう感づいているかもしれない…。

どうして、麗奈を“好き”になれないのだろう。

昔は好きで好きでしょうがなかったのに。

今、“好き”なのは−…。


とても小さな女の子が、頭に浮かんだ。